YuzoOno.blog

小野裕三の公式ブログです。

川崎益太郎『秋の蜂』 / 川崎千鶴子『恋のぶぎぶぎ』 (2017年8月刊)

不届きなトースト跳ねる早春賦 捨てられし菜の花そろり立ち上がる 地を選び地に選ばれる種袋 吊り橋の重量制限蝌蚪に足 夕焼けをこわさぬように卵割る 終点の更に伸びゆく花野かな 鯉跳ねて水より冷たき世界知る 影のない人と寄り添う日向ぼこ あっ雪するり…

『豆の木 21号』 (2017年5月刊)

近づいて消えるみづうみ靴の底 山岸由佳二階建てバスの二階にゐるおはやう 宮本佳世乃冬の蜂つつつピアノ練習曲 吉田悦花山霧や絵本に戻る狐の子 吉野秀彦秋霖の遠く寂しき鷺の首 鷲巣正徳門柱を猫の動かぬ小六月 石山昼妥犬と乗る九月十日の飛行船 上野葉月…

詠まれたことも読まれたこともない膨大な俳句に向き合う不安 ~人工知能がもたらす「俳句の死」について~ (『豈』59号に掲載)

俳句の質的な「死」と量的な「死」 明治の時代において子規は、俳句形式に遠からず終わりが来ると考えていた。 数学を修めたる今時の学者は云ふ。日本の和歌・俳句の如きは、一首の字音僅に二、三十に過ぎざれば、之を錯列法に由て算するも、その数に限りあ…

2016 年7~9月の句集 『古志青年部作品集』『白鳥句集』『やわらかな世界の肉』『石鏃抄』『思ってます』『文様』

『古志青年部作品集2016』(古志社/2016年7月刊) 夏料理てふせせらぎのやうなもの イーブン美奈子正月凧ひつぱるたびに揚がりけり 岡崎陽市初蝶に鉄壁の天ありにけり 金澤諒和白シャツの腕まっすぐに飛車香車 高角みつこ凍つる夜をものともせずに神楽歌 丹野…

2016年4~6月の句集 『豆の木20号』『みつまめ』『間取図』

『豆の木20号』(2016年5月刊) いちご憲法いちごの幸せな国民 田島健一途中下車してしばらくは霧でいる 月野ぽぽな早春の歩く速さが偽姉妹 内藤独楽廊下は走るな悪趣味なポスター 中内火星演歌ならバーブ佐竹と毛皮夫人 中嶋憲武ロールキャベツ白鳥はとてもお…

2016年1~3月の句集 『火蛾』『星の木』『転校生は蟻まみれ』

藤野武『火蛾』(角川書店/2016年1月刊) 冬の校庭白線引くも片思い パンの香と淡雪の音妻の午後 嘔き気するほど路地明るくて夏は来ぬ 手花火の白く衰えゆく岬 牛三頭人二人夏がとぼとぼ帰ってくる 晩夏の妻塗料のようにおとろえゆく 遠雷や野の重心のうつりゆ…

「虚実超越した肉感性」~照井翠さん評 (『秋田さきがけ新報』2016年8月25日号に掲載)

照井翠さんが現代俳句協会の新人賞を受賞したのは二〇〇二年。私自身も同じ年の評論賞を受賞したのが縁で、それから彼女との息長い交友が始まった。その後何冊か句集を送ってもらったが、その作品に触れる度に少し嫉妬心のようなものも感じていた。もちろん…

「春遊」 (『俳壇』2016年5月号に掲載)

www.honamisyoten.com 春遊 春遊へ金の足音銀の足音 ランドセルに仕舞う箱あり飼うように 探梅を終えるあたりが光めく 一階の雨が鳥の巣を覗くかな 三月十日獏は何喰らう翳か ---------------------------------------- 俳句は日本文化のエッセンス、と思う…

「雨の生活」 (『俳壇』2015年11月号に掲載)

www.honamisyoten.com 雨の生活 海の歌に初速ありけり終戦日 星飛んで港栄える遠近法 雨立ち込めて昆虫展の奥に人 百年計画露草は雨降る単位 雨の生活くらやみ坂はやさしい目 ------------------------------------- 東京湾の、数奇な想像力 東京湾は、不思…

2015年10~12月の句集 『櫻翳』『地祇』『地球の音符』『みつまめ』

藺草慶子『櫻翳』 (ふらんす堂/2015年10月刊) 枯れすすむなり夢違観世音水に浮く椿のまはりはじめたる昼夜なき盆提灯をともしけり揺れながら照りながら池凍りけり一斉にもつれ上がりて鯉幟永き日の戸袋に戸のあつまりぬ若き日々あり初蝶を見失ふ向日葵や人老…

ブログ開設のお知らせ

これまで、長らく「関心空間」内でブログを書いていたのですが、 『ono-deluxe』(小野裕三公式ブログ)の空間 - 関心空間 残念ながら「関心空間」のサービスが終了するとのことで、こちらに引っ越してきました。記事はこれから書いていきます。