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小野裕三の公式ブログです。

「春遊」 (『俳壇』2016年5月号に掲載)

www.honamisyoten.com

春遊

 

春遊へ金の足音銀の足音

ランドセルに仕舞う箱あり飼うように

探梅を終えるあたりが光めく

一階の雨が鳥の巣を覗くかな

三月十日獏は何喰らう翳か

 

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 俳句は日本文化のエッセンス、と思う半面、俳句は常に実験的であれ、とも思う。それは単純な理由で、俳句は短くて多産しやすいから実験の検証に向く。興味深い俳句自動生成プログラムも既に作られ、近年では人工知能が人類を超える「シンギュラリティ」が一般に注目される。今後さらに進化すれば、人工知能は人間にチェスや将棋で勝ったように俳句でも勝てるのか。実験がどちらの結果でも、人間の持つ創造性や知性の今後を照らす示唆になりうる。そのような二十一世紀的観点から、俳句は「実験」に果敢であるべきだ。